ラーメン店を開業するとき、「調理師免許が必要なのか」「どのような営業許可を取ればよいのか」と疑問に思う方もいるでしょう。
ラーメン店の開業では、調理に関する資格と、店舗に必要な許可・手続きを分けて考える必要があります。飲食店営業は食品衛生法に基づく営業許可の対象で、営業施設には食品衛生責任者を定めます。
また、店舗の規模や設備などによっては、消防関係の手続きも確認が必要です。
この記事では、ラーメン店の開業に関係する資格と営業許可を整理し、物件選びから開店までのどの段階で手続きを確認すればよいのかを解説します。
ラーメン店の開業に必要な資格を確認する
ラーメン店の開業準備では、「資格」と「営業許可」を混同しないことがポイントです。まずは店舗で必要となる食品衛生責任者と、調理師免許との違いを整理しておきましょう。
食品衛生責任者を定める
飲食店などの食品を扱う施設では、食品衛生責任者を定める必要があります。営業許可の申請書にも、食品衛生責任者の氏名や資格の種類、受講した講習会などを記載する項目があります。
食品衛生責任者になるための要件や講習会については、出店予定地を管轄する自治体や保健所の案内を確認してください。自治体によっては、食品衛生責任者の資格を持つ従事者がいない場合、養成講習会の受講を案内しています。
開店直前になって確認するのではなく、物件や店舗づくりを進める段階で、誰を食品衛生責任者とするのか決めておくと、手続きを整理しやすくなります。
厚生労働省「食品衛生法施行規則」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78332000&dataType=0
(最終確認日:2026-09-29)
調理師免許と営業許可は分けて考える
ラーメン店の開業について調べるときによくある誤解の一つが、「店で調理するには調理師免許が必要」と考えることです。
店舗でラーメンを調理して客に提供する営業は、食品衛生法上の「飲食店営業」に該当します。飲食店営業は営業許可の対象として定められているため、調理師免許の有無と店舗の営業許可は分けて確認する必要があります。
つまり、開業準備では「調理に関する資格を持っているか」だけを確認するのでは不十分です。店舗に必要な営業許可を確認し、施設基準に沿って準備を進めましょう。
厚生労働省「食品衛生法施行令」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78331000&dataType=0&pageNo=1
(最終確認日:2026-09-29)
店舗によって必要になる消防関係の手続きを確認する
ラーメン店では火気や厨房設備を使用するため、食品衛生関係だけでなく、消防関係についても確認しておく必要があります。ただし、必要となる設備や届出などは店舗の条件によって異なり、すべてのラーメン店で同じ手続きになるわけではありません。
消防庁の資料では、飲食店について、収容人員など一定の条件に該当する場合に防火管理者の選任などが必要になることが示されています。
物件の広さや収容人員、建物の用途、厨房設備などによって確認事項が変わる可能性があります。物件や内装工事の計画段階で、出店予定地を管轄する消防署などに確認しておきましょう。
消防庁「消防法上要求される防火安全対策(飲食店の場合)」
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento255_49_siryou5-2.pdf
(最終確認日:2026-09-29)
ラーメン店の営業許可は開店前に準備する
ラーメン店を営業するには、食品衛生法に基づく飲食店営業の許可が関係します。店舗が完成してから営業許可について調べるのではなく、物件や内装、厨房の計画段階から施設基準と手続きの流れを確認しておきましょう。
飲食店営業の許可を申請する
食品衛生法では、政令で定められた営業を営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないと定められています。飲食店営業も許可対象となる業種です。
営業許可の申請では、営業の種類や施設所在地などに加え、食品衛生責任者に関する情報や施設の構造・設備を示す図面などが必要とされています。実際の申請方法や必要書類については、出店予定地を管轄する保健所などの案内を確認してください。
営業許可の手続きと並行して物件や設備を検討する場合は、ラーメン店の物件はどう選ぶ?立地と設備と居抜きの確認ポイントも確認しておくと、店舗選びの段階から設備条件を整理できます。
厚生労働省「食品衛生法」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78330000&dataType=0&pageNo=1
(最終確認日:2026-09-29)
施設基準は工事を始める前に確認する
営業許可では、店舗の施設が定められた基準に適合しているかも確認されます。食品衛生法では、厚生労働省令で定める基準を参酌し、都道府県が条例で施設基準を定める仕組みになっています。
そのため、厨房を完成させてから基準を確認するのではなく、工事前の段階で出店予定地を管轄する保健所に相談しておくと、計画している設備と施設基準を照らし合わせられます。自治体によっては、工事着工前に設計図面などを用意して事前相談するよう案内しています。
厨房設備を検討する際は、ラーメン店に必要な厨房設備とは?機器の一覧と選び方を解説も参考にしながら、営業に必要な設備と営業許可上の施設基準を分けて確認しましょう。
厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kigu/index_00010.html
(最終確認日:2026-09-29)
営業許可と営業届出を混同しない
もう一つのよくある誤解が、「営業許可」と「営業届出」を同じ手続きとして考えることです。
食品衛生法では営業許可制度と営業届出制度が設けられています。ラーメン店として通常想定される飲食店営業は、営業許可の対象です。
ただし、一つの店舗でラーメンの提供以外の営業を行う場合などは、扱う食品や営業形態によって確認すべき内容が変わる可能性があります。予定している営業内容を具体的にしたうえで、必要な許可や届出を管轄する保健所へ確認してください。
厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kigu/index_00010.html
(最終確認日:2026-09-29)
ラーメン店開業までの手続きを順番に整理する
資格や許可を一つずつ調べるだけでは、「いつ確認すればよいのか」が分かりにくくなります。開業準備では、物件契約や工事を含めた全体の流れの中に、行政機関への相談や申請を組み込んでおきましょう。
物件や工事の計画段階で保健所へ相談する
営業許可の準備は、店舗が完成してから始めるものではありません。特に新しく内装や厨房をつくる場合は、計画している設備が施設基準に対応できるか、工事前に確認しておくことで、工事後の変更を避けるための判断材料になります。
相談するときは、店舗の所在地、予定している営業内容、厨房や客席の配置が分かる図面などを整理しておくと、確認したい内容を伝えやすくなります。
開業前に保健所へ確認する項目
「予定している営業内容/必要な営業許可/施設基準/申請に必要な書類/施設確認までの流れ」を整理し、出店予定地を管轄する保健所へ確認します。
自治体によって案内や手続きの詳細が異なるため、他地域の事例だけで判断せず、実際に出店する地域の情報を確認してください。
保健所と消防関係の確認を並行して進める
飲食店の開業では、保健所への確認だけですべての手続きが完了するとは限りません。消防関係についても、店舗や建物の条件に応じて必要な手続きや設備を確認します。
食品衛生上の施設基準と消防関係の設備基準は、それぞれ異なる制度に基づきます。内装工事を進めてから確認を始めるのではなく、それぞれの確認先と必要な手続きを整理しておきましょう。
開業手続きの確認メモ
「確認事項/確認先/相談した日/必要な書類・対応/次に行うこと」の欄を作り、保健所や消防署などへの確認内容を記録します。
口頭で確認した内容も残しておけば、どこまで確認したのかを振り返りやすくなるでしょう。
許可手続きを開業スケジュールに組み込む
ラーメン店の開業準備では、物件探し、資金計画、店舗工事、厨房設備の準備などが並行して進みます。営業許可だけを独立した作業として考えず、開店までのスケジュールに組み込んで管理しましょう。
自治体によっては、営業許可申請後に施設の確認検査を行い、施設基準への適合を確認する流れを案内しています。申請時期や施設確認、許可までの具体的な流れについては、出店予定地を管轄する自治体・保健所への確認が必要です。
開業準備全体の順番を整理したい場合は、ラーメン店を開業するには?準備から開店までの流れと必要なこともあわせて確認してください。
まとめ
ラーメン店を開業するときは、「資格を取れば営業できる」と考えるのではなく、食品衛生責任者と店舗の営業許可を分けて整理する必要があります。さらに、店舗の条件によっては消防関係の確認も必要です。まずは、次の順番で確認を進めましょう。
① 出店予定地を管轄する保健所で、営業許可と施設基準を確認する
② 食品衛生責任者と消防関係の確認事項を整理する
③ 申請や施設確認を開業スケジュールに組み込む
施設基準や手続きの詳細は、出店地域や店舗条件によって確認事項が変わります。物件契約や工事を進める際は、管轄する保健所や消防署などの案内を確認しながら準備を進めてください。