ラーメン店を開業するとき、「開業資金はいくら用意すればよいのか」は早い段階で確認したいポイントです。ただし、必要な金額は店舗の広さや物件の状態、内装工事の範囲、導入する厨房設備などによって変わります。
そのため、特定の金額を目安にするのではなく、必要な費用を項目ごとに洗い出し、自分の出店条件に合わせて見積もることが重要です。また、店舗を完成させるための費用だけでなく、開店後の営業を支える資金も考えておかなければなりません。
この記事では、ラーメン店の開業資金を構成する主な費用を整理したうえで、見積もりの取り方や資金計画を立てる手順を解説します。
ラーメン店の開業資金を構成する主な費用
ラーメン店の開業資金は、物件、店舗工事、厨房設備、仕入れなど複数の費用で構成されます。最初に「何にお金が必要なのか」を整理しておくと、見積もりの抜けや特定項目への予算の偏りに気づきやすくなります。
物件の取得にかかる費用
店舗を借りて開業する場合は、物件を契約するための費用が発生します。契約条件や必要な費用は物件によって異なるため、毎月の賃料だけを見て予算を決めないようにしましょう。
さらに、同じような広さの店舗でも、スケルトン物件と居抜き物件では開業までに必要な工事や設備が変わります。居抜き物件では既存設備を利用できる可能性がありますが、状態によっては修理や交換が必要です。
物件を比較するときは、契約時に支払う費用だけでなく、営業できる状態にするまでの費用も含めて検討します。物件探しで確認したいポイントは、ラーメン店の物件はどう選ぶ?立地と設備と居抜きの確認ポイントでも詳しく解説しています。
内装や厨房設備にかかる費用
ラーメン店では、客席やカウンターなどの内装に加え、調理を行う厨房を整える必要があります。工事の範囲は、物件の状態や店舗設計によって異なります。
厨房設備についても、すべてのラーメン店に同じ機器が必要になるわけではありません。提供するメニューや仕込み方法によって、必要な機器や仕様が変わるためです。
新品だけでなく、中古品や居抜き物件に残された設備を利用する方法もあります。ただし、購入価格だけで判断せず、機器の状態や寸法、設置条件なども確認しましょう。
必要な機器を洗い出す段階では、ラーメン店に必要な厨房設備とは?機器の一覧と選び方を解説も参考にすると、見積もり項目を整理しやすくなります。
開店準備と営業開始後に必要な費用
店舗と厨房が完成しても、開業準備の支出がすべて終わるわけではありません。開店前には食材や調味料、食器、調理器具、消耗品などを準備します。
開業を知らせるために販促物などを用意する場合は、その費用も計画に含めます。
さらに、開店後には家賃、人件費、仕入れ代、水道光熱費などの支出が続きます。開店直後から売上が計画どおりになるとは限らないため、営業を続けるための資金も開業前に分けて考えておきましょう。
開業費用を洗い出すときは、次の順番で整理すると確認しやすくなります。
開業費用を洗い出す手順
「物件取得 → 内装・工事 → 厨房設備 → 食材・備品 → 販促 → 開店後の支出」の順番で項目を書き出します。そのうえで、それぞれに「見積もり済み」「確認中」「未確認」のいずれかを付けます。
金額が決まっていない項目も消さずに残しておくのがポイントです。未確認の支出を可視化することで、資金計画から漏れている項目を見つけやすくなります。
ラーメン店の開業費用は見積もりを分けて考える
必要な資金を把握するには、「ラーメン店ならいくら」と一括りにするのではなく、自分の店舗条件に合わせて費用を積み上げていきます。特に物件、店舗工事、厨房設備は互いに影響するため、個別の金額だけで判断しないようにしましょう。
店舗条件を決めてから見積もりを取る
見積もりを依頼する前に、店舗の条件をある程度整理します。物件の状態、客席数、提供するメニュー、必要な厨房設備などが曖昧なままでは、工事や設備の範囲も定まりにくくなります。
見積もりを比較するときは、総額だけでなく「その金額に何が含まれているのか」を確認することも重要です。たとえば厨房設備なら、機器本体だけなのか、搬入や設置なども含まれているのかによって比較条件が変わります。
見積書を受け取ったら、次のような項目に分けて記録しておくと比較しやすくなります。
見積もりを比較するときの確認項目
「項目名/内容・仕様/見積金額/含まれている作業/別途必要になる可能性がある費用」の順に記録します。
複数の見積もりを確認するときも、総額だけを並べるのではなく、工事や設備の範囲が同じ条件になっているかを確認しましょう。
初期費用と運転資金を分ける
資金計画では、開店するまでに必要な「初期費用」と、開店後の営業を続けるための「運転資金」を分けると整理しやすくなります。
初期費用として考えるのは、物件取得、店舗工事、厨房設備、備品などです。一方、営業開始後は家賃、人件費、食材費、水道光熱費などの支出が発生します。
ここで注意したいのが、店舗を完成させるための資金だけを開業資金として考えてしまうことです。工事や設備に予算を配分しすぎると、営業開始後に使える資金が少なくなる可能性があります。
資金計画だけでなく、物件探しや設備準備などを含めた開業全体の順序を確認したい場合は、ラーメン店を開業するには?準備から開店までの流れと必要なこともあわせて確認してください。
安さだけを基準に予算を削らない
開業費用を抑えることと、営業に必要なものまで削ることは分けて考えます。たとえば中古の厨房設備を選ぶ場合でも、店舗に設置できる寸法か、予定している調理に対応できる仕様かなどの確認が必要です。
また、居抜き物件なら開業費用を抑えられると決めつけないことも重要です。既存の厨房設備や内装を利用できれば、新たに用意する範囲を減らせる可能性があります。
一方で、修理や交換、店舗計画に合わせた工事が必要になる場合もあります。新品か中古か、スケルトンか居抜きかという条件だけで判断せず、営業を始められる状態までに必要な費用を比較しましょう。
ラーメン店の資金計画は余白を持たせて組み立てる
必要な費用を洗い出したら、一つの資金計画にまとめます。この段階では見積金額を合計するだけでなく、確定している支出と未確定の支出を区別します。
開業準備の進行に合わせて更新できる形にしておくと、予算と実際の支出を照らし合わせやすくなります。
確定した費用と未確定の費用を分ける
資金計画表には、契約や見積もりによって金額を確認できた項目と、まだ確認できていない項目を分けて記載します。
たとえば物件を契約したあとでも、工事内容の変更や追加設備によって支出が変わる場合があります。予算に含めたつもりだった費用が後から判明する状況を減らすには、金額だけでなく確認状況まで管理するとよいでしょう。
見積書や契約内容が確定したら、その都度金額を更新します。最初に作った予算を固定するのではなく、開業準備の進行に合わせて見直すことで、予定していた金額と実際の支出の違いを確認しやすくなります。
資金計画表で開業までの支出を管理する
資金計画は、費用項目を一覧にして管理します。複雑な書式を用意する必要はありません。
たとえば「費用項目/当初予算/見積金額/確定金額/支払時期/確認状況」の欄を作り、物件、工事、厨房設備、備品、仕入れなどを入力します。
さらに、開店前と開店後の支出を分けておけば、いつ、何のために資金が必要になるのかを確認しやすくなります。自己資金だけでは不足する場合は、必要な資金を整理したうえで資金調達を検討します。
融資制度などは、制度によって対象者や要件、必要書類などが異なり、内容が変更される可能性もあります。利用を検討する場合は、利用予定の制度を扱う公的機関が公開している最新情報を確認してください。
開業資金だけでなく開店後まで見通す
資金計画は、店を完成させるところで終わりではありません。開店後の営業まで含めて、資金の流れを考えておく必要があります。
開業前の段階から、営業開始後に発生する支出を書き出しておきましょう。実際に営業が始まったら、計画した支出と実績を比較します。
仕入れなどの支出を継続して記録すれば、開業前に作った計画との差も把握しやすくなります。
食材にかかる費用は一杯ごとの原価管理へ、店舗全体の収支は利益や損益分岐点の管理へとつながります。開業資金だけで完結させず、開店後の経営管理へ引き継げる形で記録を残しておきましょう。
まとめ
ラーメン店の開業資金は、店舗の広さや物件の状態、内装工事、厨房設備などの条件によって変わります。そのため、「ラーメン店ならいくら必要か」という一つの金額を基準にするのではなく、自分の出店計画に合わせて必要な費用を積み上げて考えることが重要です。まずは、次の順番で進めましょう。
①物件取得・工事・厨房設備・開店準備・開店後の支出を洗い出す
②店舗条件を具体化して見積もりを取る
③初期費用と運転資金を分けて資金計画表にまとめる
その後も見積もりや契約内容が確定するたびに計画を更新しましょう。開店までに必要なお金だけを見るのではなく、営業開始後の支出まで含めて整理しておくと、自分の出店条件に合った開業資金を把握しやすくなります。