ラーメン店を経営するうえでは、売上だけでなく「どれだけ利益が残っているか」を確認することが大切です。
売上が伸びていても、食材費や人件費、家賃、水道光熱費などの負担が大きくなれば、店舗に残る利益は少なくなります。そのため、売上と費用を分けて把握し、利益率や損益分岐点を確認する必要があります。
ただし、「ラーメン店なら利益率は何%あればよい」と一つの数字だけで判断するのは適切ではありません。家賃や人員配置、営業時間などの条件は店舗ごとに異なるため、自店の収支をもとに考えることが重要です。
この記事では、ラーメン店の利益率の考え方から、利益の計算方法、損益分岐点の求め方、収支を見直すポイントまで解説します。
ラーメン店の利益率を考える前に売上と費用を整理する
ラーメン店の利益率を計算するには、まず店舗の売上と費用を整理する必要があります。
売上の金額だけを見るのではなく、その売上をつくるためにどのような費用が発生しているのかを確認しましょう。
ラーメン店の売上を確認する
店舗の売上は、ラーメンやサイドメニュー、トッピング、ドリンクなどの販売によって生まれます。
売上を確認するときは、月間の合計額だけでなく、客数や客単価などに分けて考えると、変化した原因を確認しやすくなります。
たとえば、売上が下がった場合でも、来店客数が減ったのか、一人あたりの注文額が変化したのかによって、検討する内容は異なります。
売上の増減だけで判断せず、その内訳まで確認できる状態にしておくことが大切です。
ラーメン店にかかる費用を整理する
ラーメン店の営業には、食材の仕入れ、人件費、家賃、水道光熱費、消耗品費など、さまざまな費用がかかります。
利益を確認するときは、売上からどの費用を差し引いているのかを整理しておく必要があります。
さらに、損益分岐点を計算する場合は、店舗で発生する費用を「変動費」と「固定費」に分けて考えます。
変動費とは、売上や販売量などに応じて変化する費用です。一方、固定費は、売上の増減にかかわらず一定程度発生する費用を指します。
実際には、完全にどちらかへ分けにくい費用もあります。自店でどのように費用が発生しているのかを確認したうえで分類しましょう。
原価率と利益率を混同しない
ラーメン店の収支を確認するときに注意したいのが、「原価率」と「利益率」を同じものとして考えないことです。
原価率は、売上に対して食材原価がどの程度を占めているかを見る指標です。一方、店舗の利益を考える場合は、食材原価だけでなく、人件費や家賃などの費用も確認します。
そのため、原価率が下がったからといって、その分がそのまま店舗の利益になるとは限りません。
食材ごとの原価と店舗全体の利益は分けて把握し、それぞれの数字がどのように変化しているのかを確認しましょう。1杯あたりの原価の求め方については、「ラーメン店の原価率と食材コストの計算方法」で詳しく解説しています。
ラーメン店の利益と利益率を計算する方法
売上と費用を整理したら、店舗にどれだけ利益が残っているのかを確認します。
利益には、売上総利益や営業利益など複数の種類があります。どの利益を使うかによって利益率の意味も変わるため、計算するときは「何を差し引いた利益なのか」をそろえることが大切です。
利益は売上から費用を差し引いて考える
店舗の収支を把握する基本的な考え方は、売上から費用を差し引くことです。
利益 = 売上 − 費用
ただし、これは利益の仕組みを理解するための基本式です。実際の会計では、どの費用を差し引くかによって利益の種類が変わります。
売上が増えていても、同じ期間に発生した費用がそれ以上に増えていれば、店舗に残る利益は減る可能性があります。売上だけを見るのではなく、同じ期間の費用とセットで確認しましょう。
ラーメン店の利益率を計算する
利益率は、売上に対して利益がどの程度残ったのかを見るための指標です。基本的な計算方法は次のとおりです。
利益率(%)= 利益 ÷ 売上 × 100
ここでも、「利益」に何を使うかによって計算結果の意味が変わります。月ごとの推移などを比較する場合は、毎回同じ種類の利益を使って計算しましょう。計算基準をそろえることで、数字の変化を追いやすくなります。
「ラーメン店の利益率は○%ならよい」と固定的な数字だけで判断せず、自店の売上規模や費用構造、営業条件と合わせて確認することが大切です。
利益率だけで店舗の状態を判断しない
「利益率が高ければ、店舗経営は順調」と考えてしまうことがありますが、利益率だけでは店舗の状態を判断できません。
利益率が高くても売上規模が小さければ、実際に残る利益額は限られます。また、利益率が変化した場合は、売上だけでなく費用側に原因があることも考えられます。
そのため、利益率を見るときは、利益額や売上の推移、費用の変化も合わせて確認します。
利益率は、それだけで良し悪しを決める数字ではなく、店舗の収支を把握するための一つの指標として利用しましょう。
ラーメン屋の損益分岐点とは
利益率と合わせて確認しておきたいのが「損益分岐点」です。損益分岐点とは、売上と費用が等しくなり、利益も損失も生じない境目を指します。
ラーメン屋を営業するうえで、どの程度の売上が必要になるのかを考える材料として利用できます。
損益分岐点は固定費と変動費から考える
損益分岐点を計算するには、店舗で発生する費用を固定費と変動費に分けます。
固定費には、売上の増減にかかわらず一定程度発生する家賃などがあります。変動費には、販売量などによって変化する食材費などが含まれます。
売上に占める変動費の割合を「変動費率」とすると、損益分岐点売上高は次の式で計算できます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
変動費率は次の式で確認します。
変動費率 = 変動費 ÷ 売上
計算式だけを見ると複雑に感じるかもしれませんが、まず必要なのは自店の固定費と変動費を整理することです。
費用の分類が実態とずれていると、算出した損益分岐点も店舗の収支を確認する材料として使いにくくなります。
ラーメン屋の損益分岐点を計算する手順
実際に損益分岐点を確認するときは、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
【損益分岐点を確認する手順】
- 一定期間の売上と費用を集計する
- 費用を固定費と変動費に分ける
- 売上と変動費から変動費率を計算する
- 固定費と変動費率から損益分岐点売上高を計算する
- 実際の売上と損益分岐点売上高を比較する
一度計算して終わりにするのではなく、仕入れ条件や人員配置など、費用の発生状況が変わった場合は計算に使う数字も見直しましょう。
損益分岐点を売上目標そのものにしない
「損益分岐点を超えていれば十分」と考えるのは注意が必要です。損益分岐点は、利益も損失も生じない境目を確認するための数字です。店舗に必要な利益や、今後予定している支出まで含めて示すものではありません。
そのため、損益分岐点と売上目標は分けて考えます。まず店舗の収支構造を把握し、そのうえで必要な利益や今後の支出を踏まえて売上計画を考えましょう。
ラーメン店の利益を見直すときのポイント
利益が想定より残らない場合は、すぐに値上げやコスト削減を行うのではなく、どこで変化が起きているのかを確認します。
売上と費用を分けて見ることで、見直すべき部分を整理しやすくなります。
売上と費用のどちらが変化したか確認する
利益が減った場合は、まず売上と費用のどちらに変化があったのかを確認します。
売上が減っているのであれば、客数や客単価などを見ていきます。費用が増えている場合は、どの費目が増加したのかを確認しましょう。
「利益が減った」という結果だけを見ても、原因までは分かりません。売上、変動費、固定費に分けて確認すると、見直す場所を整理しやすくなります。
コストを下げることだけを目的にしない
利益を増やすために、最初にコスト削減を考えることがあります。しかし、すべての費用を一律に削ればよいわけではありません。商品の品質や店舗運営に必要な部分まで削減すると、別の問題につながる可能性があります。
費用を見直す場合は、「なぜこの費用が発生しているのか」「店舗運営でどのような役割があるのか」を確認してから判断します。
利益を見直すときは、売上を増やす方法と費用を調整する方法の両方から検討しましょう。
月ごとの数字を同じ基準で記録する
店舗の収支は、一度計算するだけでは変化を把握できません。毎月同じ基準で売上、変動費、固定費、利益を整理しておくと、過去の数字と比較しやすくなります。
月ごとに確認する項目
「売上/変動費/固定費/利益/利益率/損益分岐点売上高」を同じ形式で記録します。
数字が大きく変化した場合は、金額だけでなく、その理由も簡単に残しておきましょう。仕入れ条件や人員配置などの変化と数字を結び付けて振り返りやすくなります。
まとめ
ラーメン店の利益率を確認するときは、売上だけではなく、食材費や人件費、家賃など店舗運営にかかる費用も合わせて把握することが大切です。
利益率は、売上に対して利益がどの程度残ったかを見る指標です。一つの数字だけで店舗の状態を判断せず、利益額や売上、費用の変化と合わせて確認しましょう。
また、固定費と変動費を整理して損益分岐点を計算すると、店舗の収支構造を把握する材料になります。まずは次の順番で自店の数字を整理してみましょう。
- 一定期間の売上と費用を集計する
- 費用を変動費と固定費に分け、利益率と損益分岐点を計算する
- 毎月同じ基準で記録し、数字が変化した原因を確認する
利益率や損益分岐点を単独で見るのではなく、自店の売上と費用がどのように動いているのかを継続して確認することが、収支を把握する第一歩になります。